第16回実践勉強会
実践勉強会実施レポート
報告者:保険学術部 田中敏郎・佐川雅夫・中畔勇一
- 開催内容
- テーマ内容
- NSAIDs長期服用患者の胃粘膜障害
?:NSAIDs長期服用患者の63%になんらかの胃粘膜障害が発生。
?:NSAIDsは胃の痛みにも効果があるため胃粘膜障害の痛みはマスクされてしまう。
そのため多くの患者が自覚せず重症化してしまい、吐血などで初めて気づくこととなる。?:うつ病は特殊な病気ではなく誰でもかかる可能性のある病気であることを説明する。
- 身体疾患に伴ううつ病
?:脳血管障害 脳卒中後うつ病が有名で発症頻度は15?60%。脳の傷害による。
?:内分泌疾患 クッシング症候群、甲状腺機能異常、汎下垂体機能不全では高率にうつ病が
出現。副腎皮質・甲状腺ホルモンが特に関係が深い。?:アスピリン少量投与でも胃粘膜障害は発生。頻度も他のNSAIDsと同等。
他のNSAIDsより長期服用されるため重症化することが多い。?:防御因子増強剤を併用しても60%以上に胃粘膜障害が認められる。防御因子増強剤では
胃粘膜障害発生を十分に抑制できない。なぜそれでも防御因子増強剤が併用されているのか??保険適用の問題?医師が使い慣れている海外では防御因子増強剤という概念は無く、使われていない。?:ガスター(攻撃因子阻害剤)はムコスタ(防御因子増強剤)と比較し優位に胃粘膜障害を
軽減する。ただしガスターをNSAIDs長期服用患者の胃粘膜障害に用いる場合、病名を胃炎としなければいけない。1日薬価で比較した場合、ガスター20mg分1はムコスタ300mg分3より安い。
- 胃痛の患者様への服薬指導
・胃・十二指腸潰瘍の原因
過労・睡眠不足、不規則な食生活、ストレス、性格、栄養不良、薬物、飲酒、喫煙、Hピロ等。原因があればそこを改善するよう指導。初回問診票でかなり分かりそうですね。・避けたい刺激性食品・嗜好品
いずれも胃酸分泌を亢進します。アルコール、たばこ、カフェイン(コーヒー、紅茶、抹茶、ココアなど)、炭酸飲料、香辛料、かんきつ類、熱いもの・冷たいもの・摂ってよいもの
物理的に硬くないもの 繊維の多くないもの 胃内停滞時間が短いもの(揚げ物はNG)・食事の仕方
1日の食事を4?5回にわけ、ゆっくりかんで食べる。糖質・たんぱく質を多く摂るようにする。・胃痛とストレス
ストレスにより交感神経が賦活し血流が減少する。すると胃粘膜の保護作用が弱くなる。揺り返しで副交感神経が賦活し胃液分泌が亢進される→胃痛→食事が摂れず栄養不良→さらに胃痛が悪化、胃潰瘍は心の病気といわれる所以ですね。
開催表題=第16回 胃痛について
開催日時=平成19年11月22日(木)20:15?21:50
開催場所=大森会営薬局 2F
参 加 者=サガワ薬局:佐川・嶋田、アサヒ薬局:中畔、にしかわ薬局:新木、京浜堂薬局:保科、
ひろみ薬局:橋本、ミオ薬局:三尾。
「NSAIDs長期服用患者の胃粘膜障害について」 アステラス 大野さんから説明していただきました。
今回の一押しパンフレット
胃・十二指腸かいよう読本 武田 1-1-7245 2007年6月製作なので最新です。
潰瘍の症状・原因・メカニズム・検査方法・治療方法・薬の種類・日常での注意点
(食事療法、ストレスへの対応)まで網羅され薬袋と同じくらいの大きさです。
今回の一押しwebサイト
「胃潰瘍・十二指腸潰瘍の食事」
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の際の食事療法について詳しく書かれています。
「ストレスとライフサイクル」
ストレスとその対応策が詳しく書かれています。
以上。
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