第22回実践勉強会

実践勉強会実施レポート
報告者:保険学術部 田中敏郎・佐川雅夫・中畔勇一



  1. 開催内容
  2.    開催表題=第22回 総合失調症について

       開催日時=平成20年11月13日(水)20:10?21:30

       開催場所=大森薬剤師会 会議室

       参 者=サガワ薬局:佐川・川口、アサヒ薬局:中畔・飯塚・内田、美原薬局:田中、ミオ薬局:三尾、

           江島薬局:浅野・江島、ひろみ薬局:宮田・橋本・芳田、にしかわ薬局:新木、コーコク薬局:松原、

           山王薬局1丁目店:尾花、スマイル薬局大森店:田口、ぷらむ薬局:前島。


  3. テーマ内容
  4.    「総合失調症の病態と最近の薬物治療について」 大塚製薬 西田さんから説明していただきました。


      • 総合失調症とは

        精神分裂病という病名が平成14年より総合失調症と読みかえることになった。

        正確な原因は不明。主に思春期から成人前期に特有の精神症状を呈して発病する疾患。

        早期に適切な治療がなされれば約半数はほぼ完全に、あるいは軽度の障害を残して回復するが一方

        では再発しやすい傾向にある。いずれの時代においても世界人口の約1%が総合失調症を患い、

        毎年新たに200万人の患者がその診断を受けている。


      • 総合失調症の症状

        その現れ方や治療の反応性などから大きく陽性症状と陰性症状に分けられる。

        ? 陽性症状群・・・妄想,幻聴,混乱した思想とまとまりのない会話。落ち着きのなさ。感情の不安定さ。

        ? 陰性症状群・・・感情鈍麻,思考内容の貧困化,意欲減退,閉じこもり,注意集中力の障害。

        ? 認知機能障害・・・集中力が続かない,会話が理解できない,感情をうまく説明できない等。

        生活や社会活動に支障をきたす状態。


      • 薬物療法

        ? 新規(非定型)抗精神病薬・・・陽性・陰性両症状に効果あり。錐体外路症状の副作用が少ない。

        (エビリファイ・ジプレキサ・リスパダール)

        ? 従来型(定型)抗精神病薬・・・陽性症状に効果あり。

        (コントミン・レボトミン・セレネース)

        ? 持続性抗精神病薬・・・1回の投与で1週間以上効果持続

        (フルデカシン・ネオペリドール・ハロマンス)


      • 主な抗精神病薬の副作用

        ? 錐体外路症状(ESP)・・・パーキソン様症状・ジストニア・アカシジア・ジスキネジア

        ESPを発現しない用量としては、リスパダール6mg,ジプレキサ10?20mgマックスといわれる。

        パーシャルアゴニストを特徴としているエビリファイは用量依存ではないので12mg以上の投与も可。

        ? 悪性症候群・・・発症は1?3%と稀だが、放置すると生命に関わる。

        ? 体重増加・・・服用により食欲増加(ジプレキサ)。

        ? 糖尿病・・・血糖値の上昇(ジプレキサ・セロクエルは糖尿病に禁忌)。

        ? 生理不順,乳汁が出る・・・高プロラクチン血症によるもの。

        ? その他脂質異常,性機能障害,過鎮静,抗コリン症状,立ちくらみ。


      • 相互作用

        ? SSRI,三環系抗うつ薬,β遮断薬の一部はCYP2D6の阻害作用を有している。

        チオリダジン,アリピプラゾールを含むその他多くのCYP2D6により代謝される抗精神病薬との

        併用時、血中濃度上昇に注意。

        ? HIVプロテアーゼ阻害薬,ケトコナゾール,イトラコナゾール,クラリスロマイシン,エリスロ

        マイシン等の併用は、CYP3A4阻害作用によるピモジド,チオリダジンの血中濃度上昇。

        逆に、CYP3A4を誘導するカルバマゼピン投与時には上記薬剤の血中濃度減少に注意。


      • 多剤大量使用の問題点

        定型抗精神病薬や至適用量を超えた多剤での治療は、脳が備えている神経保護作用の働きを阻害する

        神経毒性によって脳にダメージを与える可能性があることがわかってきた。単剤と多剤では長期予後

        (生活活動能力)に差があり、再発率も単剤の方がずっと少ないといわれている。


      • 最近の治療傾向

        社会復帰を目指した精神医療の考え方から、多剤から単剤投与の傾向。

        外来患者で長年安定して社会参加できている人に単剤化をすすめるのは積極的ではないようだが、

        まず新規(非定型)薬(アリピプラゾール・リスペリドン・オランザピン)を核に投与し、周辺症状を

        BZ系,抗コリン薬,その他で調整し、最終的には新規(非定型)薬単剤で治療していく流れ。

        その切り替え方は種々ある。



    今回の一押しパンフレット

    ? 統合失調症ABCお薬について:大塚製薬

    ? 統合失調症の患者さん、ご家族のみなさまへ:アステラス製薬

    ? やさしい統合失調症ハンドブック:ヤンセンファーマ

    ? 精神科で治療を受ける患者さん、家族のみなさんへ:大日本住友製薬


    今回の一押しwebサイト

    「すまいるナビゲーター」 http://www.smilenavigator.jp/


    以上。

                                         

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